※学生時代
あきらが眠っている。
今日の実習では結構走り回っていたから、きっと疲れたのだろう。珍しく電車となった帰り道、大して人のいない車内で三人並び、がたんごとんと揺られているうちに、いつの間にか目を閉じていた。
肩に寄りかかってくる友人の髪の香りは家入と多分一緒だ。なんとなく横顔を見ていたら、その向こうからこちらを、というよりあきらを見つめる、同級生に気づいた。
「……何」
と尋ねると、気づかれていたことを知った五条が顔を背け、なんでもねえよと嘘を吐く。家入はため息を吐いた。
「よいしょ」
あきらの頭を、乱暴にならないようにゆっくりと、反対側へ押す。少し誘導してやれば、あとは重力のまま、あきらは五条の肩へと頭を寄せた。背の高い五条の肩の位置は高いが、首に負担がかからなくていいかもしれない。
んん、と眉を寄せながらも、あきらは起きる様子がない。
「……んだよ」
「重かったから」
「…………」
「嬉しいくせに〜」
からかってやれば、五条の白い肌はすぐに赤くなる。その様子を見るのが、実は結構、面白くて好きだった。