非術師を皆殺しにするのだ、と夏油は言った。
非術師がいなくなるということは、すなわち術師だけが世界に残るということで、そうなれば呪霊の発生しない世界が来るのだと、言う。
そうなれば。
そうなれば、あきらたちはきりのない戦いから解放され、高専だってなくなって、漫画で見るような、あるいはその辺で楽しそうに歩いているような、普通の学生みたいな過ごし方をするのかもしれなかった。
昨日笑っていた誰かが、今日無惨な姿になって帰ってくることも、なくなるかもしれない。
「でも」
呪霊がいなくなるということは、夏油がその力の源を、失うということでもある。従えるべき呪霊がいなくなったなら、夏油の術式は無意味だ。
「それでもいいの」
「勿論」
あきらが問うと、夏油は穏やかに微笑んだ。手の中でさっき得た黒い玉を遊ばせながら、そうなったら、と続ける。
「晴れてこの味ともお別れだ」
ごくん。
高専にいたときは一切触れなかったそのことを、冗談めかして夏油は言う。どこか、すっきりとした顔だった。