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夏油と子ども

「わたしも夏油様みたいになる!」

きらきらと瞳を輝かせ、自分に抱きついてきた幼い家族の小さな頭を、夏油は優しく撫でた。抱き上げるとまた重くなっている、その重みときゃっきゃと喜ぶ笑顔にこの上ない幸せを感じる。

「私みたいに?」
「うん!」

あきらが元気いっぱいに頷いた。首もとに抱きついてきた頭を撫でれば楽しそうに身を捩る。

「あのね、いっぱい勉強して、かしこくなって、強くなる」
「それはいい」
「それでコーセンに入学して」
「……ん?」
「いっぱい遊んで、友達つくって、夏油様みたいにさるたくさん殺して美々子おねえちゃんと菜々子おねえちゃんたすける!」
「……二人に話を聞いたのかい」
「うん!」

苦笑が漏れた。そうだねえ、と宥めるように背中を叩くと、あきらが不思議そうにこちらを見つめた。大きな瞳がぱちぱちと瞬いている。

「夏油様?」
「大きくなって、あきらが高専に通いたいなら通えばいい。ある程度工作はできるからね」
「はい!」
「でも、私のようにはならなくていい」
「? なんで?」
「あきらには、友達と楽しく過ごしてほしい」
「んん?」

首を大きく傾げたあきらに、まだわからないかな、と夏油は笑いかけた。

「──悪いところではなかったんだよ」

どうかこの幼い子が、自分のような苦しみを抱えませんように。神など今更信じていないが、願うことがあるとすれば、今はたったこれだけだ。