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さくらんぼの茎

おみやげにさくらんぼを貰った。
同期四人で仲良く分けるようにと子供に対するようなことを言われ、なんだか腑に落ちないながらも五条たちはぱくぱくとそれらを口に入れている。
少し酸味のきいた実を口に含んでは種を出し、としているうちに数も減ってきて、となると遊びの方面に目が向きだした。

──さくらんぼの茎を口の中で結べるやつはキスが上手いとか、そういう話がある。
 

「できた」

しばらく口をもごもごとしていた五条が自慢げに宣言した。べろっと出した舌の上には見事に結ばれた茎があり、おおっと残りの三人が声を上げる。
五条がふふんと勝ち誇った。

「やるねえ」
「まーな。俺器用だから」
「私ももうちょっとでできそうだな」

少ししてから今度は家入が、綺麗に結ばれた茎を手の上に出した。それとほとんど変わらないくらいで、次は夏油が。

「…………」

残りは眉間に皺を寄せて、未だもごもごとやっているあきらだけだ。

「そんな難しい?」
「うん……」

本人なりに頑張っているのだが、なかなか上手くいかない。別にできなくたって困ることではないけれど、同期三人ができていることを、自分一人だけできないと認めるのはなんとなく嫌だった。
まだ粘るつもりのあきらを、五条が「ヘタクソ決定〜」とからかった。

「やっぱ迷信か」

むっとするあきらを頬杖をついて眺めながら、家入が口を開いた。

「え?」
「あきら、別にキス下手じゃないのにね」
「……は?」
「しょ、硝子!」

男子二人に目を剥いて見比べられながら、あきらが真っ赤な顔をして、家入の名前を呼んだ。