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真人と呪詛師

「ねー、見ててあきら」
「はあ」

このところあきらの雇い主となっている男は、趣味の悪いことに呪霊と仲が良い。しかもあきらに繋ぎとして、呪霊達の傍に待機することを命じるくらいだ。
常に傍にある呪霊の気配はおぞましいが、金払いがいいので付き合ってやっている。

今日も今日とて暇を持て余したらしい真人は、あきらを呼ぶと、口から吐き出した元人間の形を変えた。それぞれ化け物のようなそれは、真人の命令を聞いて、何故か主人に向かって襲いかかる。無感動に見ているあきらの前で、真人はにっと笑うと、体を文字通り丸く小さくした。一瞬の後。

「どう?なかなかよくない?」
「……」

全身から生やした鋭い棘で改造人間を串刺しにしながら、真人が自慢げに言った。ウニのようだ。あきらは半目になってそれを見る。

──まず溜めが大きすぎる。それなりの術師なら難なく避けるだろう。それから鎧にするには強度が足りない。もしあきらがこれを使われたら、一旦距離を取り、離れた場所から攻撃を仕掛ける。

「なんか言ってよ」
「…………ナイスアイデアだと思いますよ」

だがまあこれでこの呪霊が何かに負けたところで、あきらには関係ないことだ。
やっぱり!?と嬉しそうな真人に向かって適当に頷いておく。

「あ、あとこんなのもあるよ」

調子に乗った真人が体の形をみるみる変えた。フォルムが歪み、立派な流線型へと変わる。背鰭と胸鰭、鰓と尾。残ったままのツギハギのあと。

「…………」

どこからどう見てもマグロだ。
ただしちょっと不気味である。

「……キモッ」
「はー!?何つった人間!」

思わず漏れたあきらの本音に、真人が不満そうな声を上げた。