現場で七海の顔を見るなり、あきらはあっはっはと声を上げて笑った。
呪術師はクソです、と言って業界を抜けた後輩が、今度は労働はクソでしたと言って出戻ってきたのだから、そりゃあ面白いのだろう。目にはうっすら涙まで滲んでいる。
「……こんなに笑ったの、人生初かもしれん」
「そこまでですか」
笑いの発作が収まるまで大人しく待ち、やっと行った数年ぶりの会話がこれだった。
「ちょっと大げさだった」
「そうでしょうね」
あー面白い面白い、と手を組んで伸びをしたあきらに緊張感というものはない。ここはもう帳の内側、一級術師を二人も派遣するほどの呪いの巣なのだが。
要するに腕は確かなのだ。性格が尊敬に値しないだけで。
どこかの最強と同じである。
敵地であまり気を抜かないでください、と一応声をかけたところ、あきらは全く聞いていないようで、さっさと済ませて飲みにでもいくかーと返してきた。
「……まだ昼です」
「それがどうした」
サラリーマンじゃないんだし、とあきらが言う。
「…………」
それもそうだ。
時間にあまり縛られなくていいところは、呪術師という職業が一般の会社員よりマシなところの一つだった。
思い直しはしたものの、ご機嫌のあきらが七海の背中をばんばんと叩きだしたので、やはりこの人と酒は飲みたくない、と思う。
呪術師は結局クソなのだ。例外は当然ながら、ここにもない。