※学生時代
共用スペースのソファーに寝そべってテレビを見ていた後輩に、泊まりがけの実習に行くと伝えると、あきらは寝転がったまま「いってらっしゃ〜い」と気の抜けた声を発した。隣に立っていた親友がひくっと口の端をひきつらせる。
おみやげはご当地キティがいいでーす、とテレビから目を離さずに続けたその頬を、大股で近づいた五条が苛立った様子でつねった。
「いったぁ!」
「先輩にろくに挨拶もできねぇのはこの口か?あぁ?」
「やめへくださいよ、もう」
嫌そうに眉を寄せるあきらに、五条がますます不機嫌になる。ある意味仲のいい二人を眺めて夏油は苦笑した。
そのうちあきらが五条の手を頬から外し、そこでやっと、テレビではなく五条を見る。睨み上げたのは一瞬で、またテレビに視線を戻した。
「……だって先輩たち心配し甲斐がないというか」
「あ?」
「どんな仕事行ったってけろっと無傷で帰って来るじゃないですか。なので適当でもいいかなって」
「なるほど」
どこか拗ねたような響きのあきらの言葉を聞いて、夏油の声に笑いが滲む。
態度への表し方はおいておくとして、この後輩には随分信頼されているようだ。
「悪い気はしないな」
喉の奥で笑うと、五条が片眉を跳ね上げてこちらを睨み、ハァ!?と叫ぶ。あきらはやっぱり拗ねているらしく、ふんと鼻を鳴らしていた。