※学生時代
※モブな友達がでます
任務終わり、気分転換に甘いものでも食べて帰ると言うと、甘いものが好きな五条がついて来た。この間雑誌に載っていたとかいうパフェの店を探しながら、大都会東京を二人でさまよう。
別に仲が悪いわけでもないので、会話には困らない。信号待ちをしながら高専のことや最近行った地方でのこと、もうすぐそばに控えているあきらの昇級のための任務について、などなどいつも通り話していた時に、それは起こった。
「やっぱあきらだ!久しぶり!」
「え……、ああ!?ひ、久しぶり!」
突然横から肩をつかまれた。振り向くとそこにいたのは中学の同級生で、あきらは目を丸くして応える。高校デビューでもしたのだろうか、髪の色も変わりすっかりあか抜けていて、ぱっと見わからなかったのだ。
卒業ぶり〜どこの高校行ったんだっけ誰々と一緒だよとかなんとか、一通り懐かしんだ後、彼女はぐっと顔を寄せてにやりと笑う。小声で「彼氏?」と聞かれた。
「ち、違う!」
「照れなくていいってば」
「本当に違うから、勘弁して」
そうだった五条がいたんだった。
突然の友人の登場に空気を読んだ五条は、文句も言わず携帯をぽちぽちと触っている。
その様子をちらりと見て。
「……イケメンじゃん!!」
小さいながらも勢いのある声に、本当に違うんだってと訴えた。結構必死に見えたのか、それ以上は追求されず、なぁんだと引いてくれる。
やっと内緒話をやめ、少し距離が開いた。
「元気にしてんの?」
「……ん、まあまあ」
職業柄怪我は多いが、それなりに元気な部類には入るだろう。辛いことも痛いこともたくさんあるけれど、言う必要は特にない。
笑って答えるとそう、とほっとしたように息を吐かれる。
「ちょっと心配してたんだ、あんまり連絡取れないから」
「ご、ごめん……」
「いいよ。なんか頑張ってるみたいだし」
「まあ頑張ってはいるけど」
「昇級ってなんか試験でも受けるの?」
「え?」
「さっきそんな話してたじゃん。聞こえちゃった」
小首を傾げられた。なかなかかわいらしい仕草だが、そうださっきまで五条とそんな話をしてたんだったとあきらはそれどころではない。
どうしよう。呪術師には四から一級までの等級があってですね、などと説明するわけにもいかないし、級、ほかに級とついて不思議ではないものはなかったか。
「えーっと……」
五条に助け船を期待するのは間違いだろう。なのであきらは目を泳がせつつ、必死で言い訳を探した。
「えっと」
「うん」
「か…………漢検の……試験を」
「あー、中学の時二級とったよねうちら」
「そう。だ、だから今度、次は準一級を受けることに」
「そっか」
うんうんと友人が頷く。
ちょうどその時信号が変わった。
周りの人が一斉に歩き出す中、彼女は時計を見て、じゃあ行くね、と小走りで歩き出す。漢検頑張れ、と励ましてくれる笑顔が眩しい。
「またねー!」
「またね……」
手を振って、去っていく友人を見送ったあきらの肩が、これまたがしっと捕まれる。
振り向けば案の定、綺麗な笑顔を浮かべた現在の同級生がいた。
「…………」
「漢検頑張れよ、あきら」
「………………」
返事ができず黙り込むあきらを見て、こらえきれずにぶふっと吹き出した。そのまま笑い声が大きくなる。
「言うに事欠いて漢検ってオマエ!!」
「…………」
「もうちょいマシなのあっただろ!!」
「…………思いつかなかったし」
もう駄目だ。多分当分ネタにされるだろう。
やっぱり一人でくればよかったなーと、ばしばしと叩かれる肩の痛みを無視しながら、あきらは諦めたように、遠くを見た。