実りも終わりもない、けれど少しは真剣みを帯びた作戦会議に頭を使って疲れた三人は、気分転換に外に出ようと思いついた。ちょうど飲み物がなくなったので、目的地は自販機だ。もちろん財布役は五条が担う。
入れる業者が限られているせいで品揃えのよくない高専の自販機に、三人揃って向かう。
だらだらと歩いていたところに、何の偶然かあきらに出くわした。
「あきらー!」
硝子が手を振る。気づいたあきらは一瞬笑顔を浮かべたが、硝子の後ろに続く五条に気づいて顔を強ばらせた。その様子を見た五条の顔が僅かにひきつる。
「何、ジュース?」
「う、うん…………」
というかもう本人が今までごめん、全部俺が悪かったですこれからは優しくしますついでに好きですと土下座でもすれば解決する問題なのではないだろうか、と夏油が考えていると、ちらちらとこちらを気にした様子のあきらが躊躇いがちに口を開いた。
「その、何してたの?三人揃って……」
「え?夏油の部屋で」
言い掛けた硝子の肩を叩いて止める。同時に隣の五条を肘で小突いた。なにすんだよと言わんばかりにこちらを睨んだものの、自分を不思議そうに見るあきらに気づいて口を噤む。
しばらく沈黙が流れた。
ぎゅっと唇を噛む五条を横目で見る。言葉を待つ。五条が目を逸らした。
かなり長く間が空いた後、やっとプレッシャーに負けた五条が口を開く。
さて何をいうかと思えば、
「…………オマエは関係ねーよ」
よりにもよってそんなことを言った。
あきらが露骨に傷ついた顔をする。
「……そっか」
視線を下げると、あきらはそのまま歩き出した。呆れて言葉が見つからない硝子と夏油とも目を合わせず、「なんかごめんね、邪魔しちゃって」と沈んだ声で謝る。
それを聞いてやっと、あきらが誤解をしたのだとわかった。
無理もないだろう、自分以外の三人が楽しそうに歩いていて、しかもオマエは関係ないなんて言われたのだ。仲間外れにされたと思っても仕方ない。
「え、あきら?」
「あきら、待った」
驚いた硝子の声も夏油の制止も聞かず、去る足は次第に早くなり、最後には走り出して、あっという間にあきらはいなくなってしまった。
三人揃って取り残される。
「…………あのさあ」
硝子にしては珍しい、苛立った声だ。
「私たちを道連れにすんのやめてくれる?」
このバカ、と罵られた五条は無言でその場にしゃがみ込み、ハーとバカみたいに大きな溜息を吐いた。