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みみななと正月

「あきら姉!」

正月くらいは顔を見せてくれ、と連絡を受けて戻ってきた拠点をぶらぶら歩いていると、後ろから高い声に呼び止められた。振り向くとそこには正月らしく振り袖で着飾った、五つばかり下の子供達が手を振っており、あきらを見てたたーっと駆け寄ってくる。

「おー、みみななじゃん。また背伸びた?」
「その呼び方やめてって言った!」
「嫌……」
「かわいいのに」

まあ双子だからってひとまとめにされるのは嫌なときもあるのだろう。わかったわかった、とふくれっ面の二人を宥めて、あきらはあけましておめでとう、と声を掛ける。元気な声、ぼそぼそとした声、対照的な二つが重なって応えた。
そして。

「あきら姉」

ずいっ、と揃って手を差し出してくる。

「……何かな?」

すっとぼけたあきらが目を逸らすと、「お年玉!」と菜々子が催促した。

「いやあんたたちもうたくさん貰ってるでしょ」

二人の着ている晴れ着は去年とは違うものだ。髪飾りなど装飾品も当たり前に。
あきら達の頭目はどういうわけかこの二人にゲロ甘なので、どうせ例年通り新しく仕立てたのだろう。お年玉だって下手をすれば封筒が自立するくらいあげたに違いない。足りないといえば追加さえあり得る。
周りの人間だってなんだかんだそれなりの額を渡したはずだ。なのにどうしてこの上欲しがるのか。人間の欲って際限ない。
美々子が上目遣いで主張した。

「あきら姉からは……もらってない……」
「いやいや。そもそも私あんたたちとそこまで年離れてないしね」
「関係ないしー!あきら姉もう大人じゃん!ねえ!」
「大人の義務……」
「いつも子供扱いすんなってぶちぶち言ってるくせになんでこんな時だけ!?」

どこか矛盾する主張を続ける双子に、着ていた服の端を引っ張られ揺さぶられと一通りひどい目にあいながら、これだから子供は!と新年早々叫んだあきらだった。