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疑問は同じ

※帰ってきた人

 

一日休みだから適当に遊んでくると言って午前中に高専を出て行ったあきらが戻ってきたのは、すっかり日も落ちた、人によっては就寝する者もいそうな時刻だった。高専の生徒に門限は事実上ない(そんなもんあったって誰も守らない)ものの、あきらについては事情が事情である。一度いきなり十一年もいなくなっているわけだし、万が一のこともないと言えない。なんとなく寮の共用スペースで時間を潰していた五条は、あきらの姿を見るなり「遅くなるなら連絡くらいしなさい」と年上ぶった説教を一発かました。
普段ならしてくるだろう反発もなく、あきらはどこかボーッとした様子で、ああうん、と頷いている。

「……どうしたんだよ。ていうかどこ行ってたわけ」

今の東京については土地勘もないだろうに、よくこんな時間まで遊べたものだ。訝しげな五条とは目を合わさず、あきらは「漫画喫茶」と答えた。

「漫喫ぅ?」
「ホントは適当に歩こうと思ってたんだけど、疲れちゃって。昼くらいからずっと漫喫いた」
「昼から?今まで?」
「うん」

目を擦り、ちょっと眠いのかあくびをする。

「……なんかさ、なんていうか、やっと時間が経ってる実感わいてきた気がする」
「それまたどうして」
「いや、だって」

読んでた漫画みんな完結してるんだもん、とあきらが答えた。

「リボーンとか、ブリーチとか、のだめとかナルトとかそういうの全部終わってて。もうどんだけいても時間足りない、読み切れない。当分休みは漫喫通うことにする」

うんうん、とひとり神妙に頷くあきらにかける言葉が見つからない。五条にしてみればそりゃそうだろうよという感じである。ていうか三十間近になってた同級生よりそっちで実感すんのかよとも思ってはいる。

「あ、そういえば」

押し黙る五条に構わず、あきらが思い出したように口を開いた。

「なんでハンターハンターまだ完結してないの?おかしくない?」

率直かつ、これ以上なくもっともな疑問だ。五条は珍しく神妙な表情で頷きながら、「それはみんな思ってる」と真面目に答えた。