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推薦くれない五条

※学生時代

 

五条悟は意地の悪い先輩だ。
同じく一つ上の夏油はあきらの昇級に協力して、結構すんなり一級に推薦してくれたのに、五条は意地を張っているのか珍しくあきらが下手に出てお願いするのが面白いのか、「やだね」「無理」と全くとりあってくれない。
そのくせ「早く昇級しろよ」とやいやい言ったりするので、もうなんか、何だこいつ?とさえ思う。

「いつも思うんですけど、五条先輩ってマジで何考えてるんですかね?」

そんなことをぶちぶちと練習場からの帰りに鉢合わせた推薦してくれた方の先輩に愚痴っていた。
夏油は五条の親友ではあるが、素晴らしいことにこの程度の愚痴を咎めるような人間ではない。歩幅をあわせて歩きながら、案の定夏油がまあねえ、と相づちを打ってくれたので、あきらは憤然と「ですよねぇ!」と返した。そんなあきらを微笑ましそうに見て、

「知ってるかい」

不意に夏油が問いかける。

「何をですか?」
「二名以上の一級術師から推薦された術師は、まず一級、もしくは一級相当の術師とともに任務を行う」

夏油の口からでてきた内容を聞いて、あきらは反応に困って妙な顔をした。
今夏油が言ったのは高専に入学してすぐの生徒でも知っているような、当たり前の仕組みの話だ。というかだからこそ、その評価の舞台に乗ろうと、二人目の推薦を得ようとしているのである。
なんとも言えないあきらの表情を見て、夏油がにっこり笑う。

「……この時同行者として選ばれるのは、その術師を推薦した者以外の術師だ。だから、たとえば私は、あきらの任務には同行できない」
「はあ……そうですね」

それもまた知っていることである。
なんでこんな当たり前のことを改めて教えられているのだろうか、と更に不思議そうな顔をあきらはした。
くつくつと喉の奥で、楽しそうに夏油が笑う。

「そこのところ、もう少し考えてみるといい」
「えぇー……?」

まだどこにもたどり着かない後輩のことを、これ以上導いてやるつもりはないらしい。
非難がましい目を向けるあきらのことなどなんのその、夏油はなんだか楽しげに、寮へ向かう道を歩いていた。