久しぶりに会った随分下の後輩が、いつの間にか自分より一つ下の後輩である七海建人に傾倒していた。どうも少し前に一緒に任務をこなして、その折にいたく感銘を受けるような出来事があったらしい。
あきらとしては普通に面白くない。猪野とはそれこそ学生の頃からちょくちょく一緒の任務に出かけていたし、その際危ないところを助けたのも一度や二度の話ではない。年の離れた後輩をかわいがっているつもりもあったし、懐かれているとも思ってはいた。なのにたった一回でこれだ。
機会としてはあきらの方が遙かに多いというのに、何でこないだ戻ってきたばかりの七海?私を慕えよ、私を。と今にも出そうな文句をあきらはすんでのところで押しとどめている。
「七海サン、マジでカッケーんすよ!」
「へえ」
「ああいう術師、いや、男になりたいです!」
「あっそ」
目を輝かせて七海を讃える猪野に、適当な相槌を打つ。明らかに冷めた反応なのに、よっぽど鈍感なのかそれともただのアホなのか、猪野が気づく様子はなかった。