今日のラッキーアイテムは花束らしい。一抱えほどもある赤い薔薇の花束を大事そうに持って、緑間は登校してきた。これから一世一代のプロポーズをしに行くと言い出したって不思議じゃないような格好だった。
「いくらしたのこれ」
「買ってきたのは母なのだよ」
「お母さんまで全面協力なのか……」
緑間の場合、ラッキーアイテムがないと命に関わるので、親としては当然の対応なのかもしれない。
近寄ると、強い薔薇の香りが漂ってくる。私って美しいでしょう、と、花に声があるなら、きっと聞こえてきたことだろう。
「……欲しいのか」
「え」
自分でも意識しないうちに、じっと見ていたらしい。だって見慣れないものだったのだ。
否定しようと口を開いたが、音になる前に「これはラッキーアイテムだからやれないのだよ」と釘を刺される。
「……だがまあ、こんなにたくさんあるのだ。一本くらいなら、お前にやってもいいのだよ」
こうして私の手の中には、きれいな赤い薔薇が一輪、握られることになった。
別にいらないと言い損ねた私は、花束を抱えて歩く緑間の隣を歩きながら、押し花ってどうやって作るんだったっけな、とそんなことを考えている。