※学生時代
「あきらはこれな」
と言われたかと思うと、デンモクを持った五条が勝手に次の曲を入れていた。
ピッという音の後、画面上部を流れたのは何度か聞いたことはある女性歌手の曲で、あきらとしては特に歌いたい曲でも好きな曲でもない。新手の嫌がらせかなにかだろうか。
ええー、と明らかに嫌そうな顔をしたあきらに向かって、「そのかわり」と言葉が続く。
「……かわり?」
カラオケ代奢ってやるよだったらまあ嬉しくなくもない。そう考えたあきらの眉間の皺が緩む。五条はなぜかにやりと笑った。
「俺もなんか歌ってやるよ。オマエが歌ってほしいやつ」
「え?」
予想外の交換条件を切り出され、あきらは深く考えることもなく、訝しげな表情で「特にないです」と返す。
五条の笑顔がピシッと固まる。
「……」
「え!?どうしたんですか?」
そう言って慌てたところで、聞き耳を立てていたらしい夏油と、今まさに歌の途中だった家入が、ぎゃははと盛大に笑い出した。