直哉の外出に同行していた日に、間の悪いことに雨が降り出した。ただでさえ嫌な相手と連れ立っているのに天気に追い打ちをかけられている。天気予報を確認しておくべきだった。
急いで近くにあったコンビニで傘を二本買う。その片方を差し出すと、「お前がさせや」と傲慢な次期当主は言った。
逆らうと経験上面倒くさいことになる。
あきらは素直に従って傘を開いた。直哉の身長にあわせているから腕が辛いが、もちろんそんなことを気にかけられている様子はない。気づいていたところで面白がるだけだろう。
道中で道を横切る子猫がいた。憐れっぽく鳴く子猫を直哉は「雑巾みたいやな」と笑うし、あきらの肩がずぶ濡れなことにも気づかない。