Skip to content

後悔/家入

※学生時代

 

「なんかよくわかんないんだけど過去に戻ってきたみたいなんだよね」

と神妙な顔のあきらは言った。いきなり部屋に突撃してきての唐突な打ち明け話に硝子はどう反応するか迷い、結局まあどうでもいいかと思って「そうなんだ」と適当な答えを返した。
あきらは自分はこないだ29になったとか、なんとかとかいう大昔の術師と戦って死んだと思ったらこの体で目が覚めたとか続けているが、信じろと言うには無理がある内容だ。なのに硝子を全く疑っていない様子のあきらは、真面目な顔で「せっかく戻ったんだからやれることをやろうと思うの」と決意表明をしている。

「たとえば?」
「今までの人生で後悔してることが二つある」

あきらはそう言うと、へー、と明らかに気のない返事をしている硝子の両肩を掴んだ。

「まず一つ。……硝子、今から日焼け止め買いに行こう」
「は?なんで?」
「絶対後悔するから!マジで!」

いかに三十路の肌が衰えるかを力説するあきらの言葉は妙に現実味があった。タイムトリップとやらの真偽を一旦置いても、ちょっと怖くなるくらいに。