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家を出た真希

家を出たはいいものの、真希は何も持っていなかった。小遣いなんてほとんど渡された覚えがないし、携帯なんて夢のまた夢だ。東京まで行って呪術高専に保護を求めればどうにかなるだろうとはわかっていても、そこに行くまでの手段がない。

手を貸してくれたのは、随分前に家を出て一度も帰ってこなかった親戚の人間で、彼女は東京に向かうには充分すぎるほどの現金と、予備だという携帯を真希に手渡しながらこう言った。

「高専に行くなら、命の心配以外はしなくていいよ」
「……」
「だからお願い。気をつけて」

あきらがぎゅっと手を握る。それが冗談でもなんでもないことを、真希はちゃんと理解していた。