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東堂を理解できない

東京校から出張に来て、京都校の学生と仕事をすることになった。
一つ下とは思えないその体格の良さに一瞬びびりつつ、「今日はよろしくね」と挨拶をして補助監督の運転する車に乗り込む。

あきらは結構沈黙が気まずいと思うタイプなので、事前にできる限りの情報は仕入れている。姉妹校交流会で直接会ったらしい後輩達曰く、

頭がおかしい。妄想癖。敵味方問わずめちゃくちゃ嫌われている。筋肉達磨。タッパとケツがでかい女が好み。アイドルの高田ちゃんの大ファン。

なんか役に立たなさそうなものが大半を占めているが、その中から最後だけ拾い上げて、車中で会話を試みた。

「そういえば東堂くん、高田ちゃん好きだって聞いたよ。たまにテレビで見るけど、かわいいし面白いよねえあの子」
「ああ。高田ちゃんにはいつも助けられている」

助けられている?と一瞬疑問が頭を過ぎるが、気にせず話を進めた。

「ああまあ推しがいると生活にハリが出るよねえ。ライブとか。わかるわあ」
「いや。それもあるが、高田ちゃんは時に的確な助言をくれる」
「え?」

なんだそれは。
詳しく聞いてみると呪霊や呪詛師など強敵と戦っているときに脳内に現れて、状況や術式を整理する助言をくれるのだそうだ。そしてたまに隙を作ってくれたりもするらしい。

の、脳内?

「…………ごめん、それはちょっとわかんないかな……」
「そうか」

東堂は気にした様子もなく、腕を組んで堂々と前を見据えていた。もしかすると誰にもわかってもらったことがなくて、否定には慣れているのかもしれない。