禪院先輩、と伏黒が呼ぶと、真希はいちいち律儀に名字で呼ぶなと怒る。毎回のようにそんなやりとりがあるので、どちらでもいいから早く折れたらいいのにと智は思うが、なかなか決着が付く気配はない。
「あ」
一年をしごくという名目で集まった面々の中、智が思いついたように手を打った。
なんだなんだと興味があったりなかったりする奴らが智を見つめる。
「真希、お前さ」
「……なんだよ」
「そんなに名字が嫌なら結婚すればいいのでは」
「…………」
しばらく智をじっと見た真希が、ふいと目を逸らして誰とだよと言った。
「………………ううーん?」
それもそうだな、と頷くと、黙って成り行きを見守っていた釘崎が女子にあるまじきうわあという顔をした。ない、ありえないわ、と呟く後輩に、智はなんでだ?と首を傾げた。