※学生時代
「見下ろしてんじゃないわよ」
「なら上ってくればぁ?」
チッと舌打ちをしたあきらがおもむろにしゃがみ込み、石をいくつか拾った。
呪力を込めながら五条に向かって投げつける。己の術式で重力までも無効にして空高くにおわす男が、たかだか石ごときに当たるはずもなく、粉々に砕かれては破片が落ちてくるばかり。あきらの怒りも最高潮で、手を交差させてとうとう影から式神まで引きずり出した。
「絶対後悔させてやる!!」
「ハッ、やれるもんならやってみろ」
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「……今日は何があったんだい」
この間担任から喧嘩禁止を申し渡されたことも忘れてぎゃあぎゃあやりあっている同級生二人を見て、夏油が問いかけた。開いた本から目を離さないまま、家入が答える。
「あきらが買ってきたチョコ、五条が勝手に食べたんだと」
「チョコくらいで」
「結構高いんだよ。百貨店で買ってきて楽しみにしてたって」
「ああ…………」
「五条は五条でこないだ買ってきた自分用の土産をあきらに食われた仕返しらしい」
「どっちもどっちか」
「そういうこと」
はあ、とため息はついたものの、呪術合戦を見ている夏油はどこか楽しそうだ。五条はさておき、あきらもなかなか奮闘しているし、優れた呪術師を愛する夏油としてはいい機会なのだろう。
家入も本を閉じた。どうせもうすぐ担任がやってくるし、それまでは見物させてもらうことにしよう。