「いやーもう、憂太さんは最強だった」
年に一度の交流会から帰ってきたあきらが、疲れ切ったうつろな目で後輩たちに土産話をしている。同学年にはノリのいい人間ばかり揃っているから、ネタにされている乙骨は気が気ではない。
「向こうがかわいそうになるくらいだったねあれは。今年の勝利はすべて憂太さんと里香ちゃんのおかげですとも」
一日目とかあれだ、並みいる強敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げの大立ち回り、と本当かどうかも危うい適当なことを拳を握りながらひたすらたれ流すあきらに乙骨はやめてくださいと困り果てている。そうすればするほど周りは面白がるということがわかっていない。
一通りあることないことを後輩たちに語り聞かせて満足したらしく、あきらはハア、とため息をついて力なく肩を落とした。
「寝る。疲れた」
「夕飯は」
「起きてから食べる」
来年頑張れよーとか土産は冷蔵庫の中とか言い置きながら、疲れ切った先輩はぼそりと言った。
「…………あのバカ目隠しもちぎって投げてくれたらよかったのに」
在学中には行く機会無かったんだよね最強だったからぁ、と引率にはしゃいでいた担任教師のことをある者は思い出し、ある者は想像した。
振り回されまくっただろう先輩の後ろ姿に、後輩一同深く同情したという。