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五条に発破をかける

※学生時代
 

俺たち最強だから、と以前は臆面もなく口にしていた台詞を、五条はいきなり言わなくなった。
それだけではない。表面上はいつも通り戯けてふざけて、周りの人間に安堵混じりの溜息まで吐かれているが、時折火が消えたように真顔で考え込んでいるところを見る。
この間の一件でかなりの痛手を喰らっていたから、それが余程堪えているのだろう。気持ちはわからなくもないが、あきらはやっぱり気に入らない。

「いつまでも凹んでるんじゃないわよ」
「……」

しゃがんだ頭に振り下ろした訓練用の棒は無限で防がれた。じっとりと非難がましく見つめてくるのを無視して、あきらは続ける。

「人間生きてりゃ何かしら負けるし失敗するのよ。だからもうそうならないように頑張るんでしょうが。一回やられたくらいでいちいち凹むな」
「無茶苦茶〜……」
「うるさい!次勝て次!」

キッと睨みつけて構えを取る。五条はパチパチと大きな目を数回瞬かせた後、口の端ににやりと笑みを浮かべて、わざとらしく億劫そうに立ち上がった。