座らされたベッドの上、ずい、と距離を詰めて、あきらが出水の腹の上に乗り上げる。うおっと声を上げながらも出水はあきらの行動を咎めないし、そのままシャツのボタンを外していくあきらの手をじいっと見つめているだけだ。
全部外し終えると派手な色のTシャツが現れた。あきらはその裾から手を入れて、そっと出水の素肌をなぞる。無駄な肉のない脇腹を、冷えた手のひらが上る。腹から胸へ、ゆっくりと裾を捲り上げながら、あきらは楽しげにくすくす笑った。
立場が反対じゃねーの、と頭の冷静な部分が囁きかけてくるけれど、この状態をひっくり返すようなスキルは出水にはまだないのだから仕方ない。
あきらはずいぶん慣れている。
出水はあきらとしか、経験がない。
どうやっても埋められない年の差というやつが憎いし、なんなら今まであきらとこうして肌を重ねてきた男たちが憎かった。今は出水の傍にいて、出水のものなのだと思えば、少しは気も紛れるけれど──。
出水の瞳に不満の色が混じったのを見たせいか、されるがままになる出水に気をよくしたのか、あきらが一層笑みを深めた。
「……ひっ」
その時ちょうど、あきらの細い指先が、薄い胸の先をかすめて、出水は息を詰める。
あきらの手が止まる。バレていないことを祈って沈黙を続けるが、あきらが見逃すわけがない。
「出水」
「…………なんすか」
「ここ、気持ちいいの?」
「っなわけ、あっ」
否定しようとしたそばからあきらの指が突起を押しつぶして、思わず声が漏れる。反射的に口を手で覆った。体の奥から羞恥が沸きだす。じわじわと顔に熱が集まるのがわかる。
ちらりとあきらを伺い見れば、おもちゃを見つけた子どものような顔をしていた。無邪気とも言えそうなそれは、しかし出水にとってはよくないものに違いない。
「出水ってば、女の子みたい」
「……くっそ」
「かわいいなあ」
「やめてくださいよ、」
あきらが手を伸ばす。口を抑えていた手は簡単に退けられてしまう。せめてもの抵抗に下唇を噛んだが、あきらの柔いそれに食まれたらきっとそれも緩んでしまうのだろう。
「いーずみー」
「…………」
「声出して。気持ちいいなら我慢しちゃ駄目」
やっぱり立場は反対なのだ。しかしそれで興奮している自分がいるのだから救いようがない。
あきらが意図的に重心を少しずらせば、じくじくと苛むような疼きを思い知らされる。くそー、と内心で悪態を吐き、出水はぎゅっと目を瞑った。