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地下室に連れてこられた

「お願いがあるんだけど」
「え、無理」

とそう言ったにもかかわらず五条は無理矢理あきらをどこぞの地下室に連れ込んだのだった。
これで押し倒されでもしようものなら正当防衛として呪術を使うのもありだったのだが、実際は高校生くらいの少年が一人、大人しく映画を見ているだけだったので、残念ながらその機会は訪れない。

「うおっ、先生、どうしたの?その人誰?」

雰囲気を出すためか暗くした部屋の中で、彼は目を丸くしてこちらを見ていた。腕にはくうくう眠っている、学長特製の呪骸を抱えている。
ていうか、うん、この子は。

「こないだ死んだ宿儺の器じゃん……」
「そうだね」
「帰る」
「ダーメ」

不思議そうに目をぱちぱちと瞬かせている器の少年を余所に、あきらと五条は言い合いのような何かを続けた。

「お察しの通り、上に内緒で悠仁を鍛えたいんだ」
「察してない」
「でもほら僕忙しいでしょ?ずっと見ててあげるのは無理」
「いや知るか」
「悠仁は感覚型だから、あきらのやり方合ってると思うんだよね」
「私は感覚型じゃないし、何にも、何にも合ってない」
「そういうわけで」

ヨロシク!

あきらの反論は全て無視して、五条は笑顔で言い切った。ほら挨拶挨拶、と少年に話しかけ、事情のひとかけらもよくわかっていなさそうな彼が虎杖悠仁ですよろしくおなしゃす!と元気に若者の挨拶をする。
あきらは頭が痛くなった。