依頼の仕事を一つ終えて、硝子に負傷した箇所を一応見てもらった。ついでに虎杖はどうしているだろうと思って地下室を訪ねる。
やけに静かだと思ったら、眠っていた。
呪骸と一緒に気持ちよさそうに眠っている。
器用な真似ができるようになったものだ。この分だとそろそろ映画も終わりだろう。
どう見ても風邪など引きそうにない虎杖だが、万が一もあるかと思って、寝室になっている部屋から掛け布団を取ってきてみる。
健やかな寝息を聞きながら、適当にかけてやった。
「…………」
呼吸にあわせて胸が上下している。時々むにゃむにゃと何事か呟いている。かけた布団をぎゅっと掴んで、寝やすい姿勢を探してもぞもぞしていた。
生きている。
あきらが虎杖と出会ったのは、彼が生き返ってからのことなので詳しくは知らないが、報告では心臓を宿儺に潰されたとなっていた。虎杖は確かに一度死んだのだ。
「……出会うのが、生き返ってからでよかったよ」
知ってる人間が死ぬの、いつになっても慣れないから。
あきらはつい手を伸ばして、虎杖の髪をさわさわと撫でる。それから、確かに生きて眠り続ける虎杖を置いて、そっとその場を去った。