エンジニアとして働くあきらは、蔵内にとって幼なじみといえる存在である。
頭がよすぎるのか言うことが突飛だし、行動の予測がつかないので、小さいころから周囲にあまり馴染むことのなかった彼女だが、このボーダーのエンジニアという位置はかなり居心地がいいらしい。
それでも蔵内の側に、思いだしたようにあきらは来る。
「これあげる」
作業を終わらせてきたのか、ツナギを着て王子隊の作戦室に現れたあきらが、おもむろに手を差し出した。
その手の上には三つ、蝉のぬけがらが乗っている。
蔵内は無言であきらの顔を見た。
「さっき、外で見つけた」
「…………そうか」
そう言えば昨日あたりから、この三門市でも蝉が鳴くようになった。
虫に人間の区切りは意味をなさないから、警戒区域も本部の近くもおかまいなしである。
とりあえず受け取ると、あきらは満足げに頷いて、作戦室から去っていった。
少し後にやってきた王子が、机の上に置いておいた蝉の抜け殻を手にとり、話を聞いておかしそうに言った。
「蔵内はまた、妙な子を好きになったね」
「……」
否定できないのがつらいところだ。