金につられて仕事をする術師なんてろくなものじゃない。目の前の男も例外ではない。
あきらは少し距離をとった相手から目を離さないまま、口の中に溜まった血を吐く。口元を拭ってから警戒の構えをとった。
さっき横っ面を殴り飛ばしてきた男が、「へえ」と感心したような声を上げた。
「今ので終わりのつもりだったんだがな」
「……」
どうやら無駄口が好きなタイプらしい。ごまかしか余裕の表れか、どちらに分類するかは迷うところだ。
取り出した武器を手に斬りかかるあきらを、男は手に持った刀で以って迎えた。競合いは一瞬だ。近距離で睨み合い、再度離れたあきらに向かって、くつくつと男が笑う。
「……何がおかしい」
「いや。よく見りゃなかなかいい女だと思って」
一瞬カッとなった心を押し殺して、あきらが凍るような眼差しを向けた。それでも男は笑っている。
「名前でも聞いとくか」
「誰が教えるか」
呪力を練り上げる。手加減は無しだ。あきらは強く地面を踏み込んで、薄笑いを浮かべる相手に斬りかかった。