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九十九由基と腐れ縁

「高専の特級の子に会ってきた」

せっかく久し振りに会ったのだから持て成せとうるさい腐れ縁の友人は、あきらが淹れたコーヒーを満足げに飲みながら楽しそうに言った。向かいのソファーに体を沈めて、あきらが「特級?」と聞き返す。うん、と九十九由基は頷いた。

「五条くんは生憎任務でいなかったけど、夏油くんの方とは少し話せた。面白い子だったよ」
「ふーん」

記憶は薄いが、夏油という名前には少し心当たりがある。もしかしたら随分前に一緒に任務に出たかもしれない。
呪霊操術の子だっけ、と付け加えてみると、そうそう!と由基のテンションが上がった。

「『特級のくせに任務も受けないで海外をプラプラしてるろくでなし』」
「うん?」
「って言われた」
「……事実だね」

そして何故かそのフレーズにすごく覚えがある。ということは胸の中にとどめ、あきらはコーヒーを啜る。とても自然な仕草だった。都合の悪いことを隠す術ならとうの昔に学んでいるのだ。
ちゃんと研究もしてるんだけどなあと残念そうな由基を横目で見た。

「後輩はどうだった?」

あきらが尋ねると、由基は口の端をニイッと持ち上げた。「若いね」とまずは一言。

「そして危うい。ひょっとすると、若いってのは危ういってことなのかもと思ったよ」

研究対象を評するような口調で由基が続ける。まるで他人事だ。
由基の思想も行動も一通り把握しているあきらは、時にあちこち引き摺り回されたことを思い出しながら、呆れたような顔をした。

「……あんたも危うさでは負けてないよ」
「えっやっぱまだまだピチピチかなぁ!?」
「…………」

皮肉のつもりで言ったところで、この通り的外れに受け取って喜ぶだけなのだが。