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呪霊のこと/九十九

「きっと呪霊もさ、別に生まれたくなかったと思うんだよね」

たった今祓った異形を哀れんでいるのかいないのか、いつもと変わらない表情で九十九由基は言った。
あきらでは到底祓えなかっただろう呪霊をたやすく倒し、消耗の影も見えない彼女はこの世に数人しかいない特級の術師だ。力の差は歴然としていて、諦めてもいるけれど、改めて見せつけられるのはやはり不快だった。
身を翻して隣に立った九十九が「そう思わない?」と同意を求めてくる。

「……」

呪霊の気持ちなんて知るかと思う。それから傲慢だとも、少し思った。
眉間に皺を寄せて、ため息をひとつ。

「……そんなの、人間も同じでしょ」
「…………」

少しの沈黙の後、九十九はあきらのことを根暗だと言ってケラケラ笑い始めた。余計なお世話だ。ほんとうにうるさい。