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twst/ラギーと被害者(男主)

※男主・サバナクロー生
※ゲームは自分なりにやってますがにわかです(すみません)

 

足を折られた。
 

「もー、アキラくん、いつまでも拗ねないでくださいよー」
「……」
「ほら、レオナさんがしばらくこのカード好きに使っていいって。よかったッスねえ」
 

仲間に、足を、折られた。

アキラは足を折られて痛みに耐えながら松葉杖でのろのろ移動しなければならない生活をしばらく強いられることになったというのに、ラギーはまるでアキラの方がだだをこねているのだと言わんばかりの口振りで、よくわからない黒いカードをこちらに差し出してきている。
無視して突き進もうとしたら、ため息を吐いたラギーがアキラの制服のポケットにカードを無理矢理突っ込んだ。ちゃんと渡したッスからね、と念を押してくる裏切り者をぎろりと睨みつけてみたものの、迫力は足りていないらしく、悪役じみた笑顔で返される。
アキラが恨めしげな表情のまま、口を開いた。

「……ラギー」
「仕方ないじゃないッスか。オレたちだけ被害がないの、不自然でしょ?」

責めるように名前を呼んでみるが、悪びれる様子すらない。

アキラが怪我をしたのは数時間前のことである。
今日の分の授業を終え、寮に帰ろうと伸びをしながら廊下を歩き、階段にさしかかったところで同級生に会った。
「アキラくん」「おーラギー」「よかった、探してたんスよ」「え?」目をぱちぱちと瞬いたアキラを尻目に、ラギーは周りをキョロキョロ見回してから、シシシッと独特の笑い方をした。

「一応先に謝っとくッス。ゴメンナサイ」
「はぁ?」
「ってことでいっちょ、『愚者の行進』!」
「はああ!?」

そんなわけで次の瞬間には、アキラは階段の上から飛び降りていた。

なんとか受け身をとったものの足は嫌な方向に曲がっている。冷や汗をかきながら見上げた同級生は逆光を背負いつつ、「大丈夫ッスか!」とわざとらしい声をあげていた。
嘘くさいにも程がある。
痛みで呻きながら連れ込まれた保健室で処置を受けて、友達思いのふりをしたラギーに体を支えられて寮に戻ると、寮長に「間抜けが」と開口一番罵られた。おまけに舌打ち。
そこで今回の計画と、本当はアキラの足まで折る予定ではなかったことを知らされたのだ。

──マジで知るか!!!

アキラの怒りは当然だった。
他寮のマジフト選手を潰すなんてどうでもいい不正が自分の知らない間に計画されていたことも、自分が無断でカモフラージュに使われたことも、結果足が折れたというのに謝罪どころか罵ってくる寮長にも、仕方なかったんスよ〜と適当に謝ってくるラギーにも何もかもにムカついている。

「……ラギー、お前、当分俺に近寄んなよ」
「ええ?いーんスかぁ、足折れちゃって大変でしょ」
「お前が!折ったんだよ!」
「だから本当は折るつもりじゃなかったんだって」
「結果的に折れてるだろ!!」
「それはアキラくんが予想外に運悪かったってだけで」

ああ言えばこう言う。反省を促すなんてこのハイエナ相手には無理なのかもしれない。ライオンもか。
なにやら諦めの割合が勝ってきて、大きな溜息をついたアキラに、頭の後ろで手を組んだラギーがにやりと笑いかける。

「アキラくんの分もマジフト大会頑張るッスから、ちゃんと応援してくださいよ」
「対戦相手をな!!」
「シシッ、いいけど」

勝つのはオレたちサバナクローッス、と何がそんなに楽しいのか、ラギーは堂々と宣言してみせた。