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どっちもやだ/五条

※学生時代

 

五条悟は背が高い。
他の人と話す時にするように顔を見て喋ろうとすると首が疲れるので、あとちょうど地元の友達からメールも来ていたこともあり、携帯を見ながら隣を歩く先輩から投げかけられる言葉にはいはいと答えていたら、「テキトーな返事すんな。話す時は顔見ろ」と怒られた。
ぴたりと立ち止まり、やっと見上げた五条は、不機嫌この上ないという顔をしている。

「別にいいじゃないですか。話は聞いてますし」
「態度が悪いんだよ」

普段大人の術師やら先生やら先輩やらにふてぶてしい態度を取って反感を買っている五条に言われたくはない。
が反論するのも面倒くさいので、あきらははぁ、と呆れたように息を吐き、少し考えて、五条から三歩、四歩と距離を取った。

「じゃあこれくらいで話しましょう」

離れてしまえば見上げる角度は小さくなるし、首の痛みも緩和されるだろう。あきらとしてはいい案だと思ったのだが、五条はむくれたまま「それも腹立つ」と言った。