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ピアスの話/七海

「嫌です」

心底嫌そうな顔をした七海が、ピアッサーを差し出すあきらの手から逃げるように一歩引く。開けたいなら自分でやるか病院にでも行って下さい、と真面目な後輩兼彼氏はそんな真っ当なことを言う。

「彼氏に開けてもらいたい乙女心がわからんかなあ」
「わかりません」

冷たい。
けれどまあ予想の範囲内なので、あきらは一旦引くそぶりを見せた。

「じゃあ五条に開けてもらう」
「…………なんでそうなるんです」
「開けたいって騒いでたから」

背を向けて歩き出したあきらの肩を、七海の手ががしっと掴んだ。あきらはほくそ笑みながら、なあにと振り向いてやる。見かけによらず、やきもちやきなのはとっくの昔に知っているのだ。
 

ひとこと
学生時代七海、五条に妙な対抗心あったらかわいいと思います