ピアスを開けたい、とあきらが言うと、順平は嫌だという顔をした。
「やめときなよ」
「えー」
「不良みたいだよ」
なんて言う順平はとてもお堅い。高専に来るまでにあったいろいろを思い出しているのだろうか、みるみるうちに不機嫌になっていく。
「校則もあるでしょ」
少し怒ったように言われたので、あきらはぱちぱちと瞬きをして、「そんなのないよ」と返した。
「普通の学校じゃないんだから」
「……」
「ついでに順平の嫌いな不良もいないよ」
しばらく沈黙した後、順平が神妙な顔でそうだね、と頷く。
「でさあ、ピアス、似合うと思う?」
改めて尋ねると、あきらを見て少し迷ってから頷いた。そう、この答えが欲しかったのだ。