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スカートの話/野薔薇ちゃん

「あんたそれ、どうしたの」

と野薔薇が尋ねてきたので、あきらは目線の先を追いかけた。自分の下半身にたどり着き、「これかあ」と応える。

「なんか動きにくかったから、短くしてもらった」
「へえ、」

似合うじゃないと明るく笑ってくれたので、あきらは嬉しい気持ちになった。制服が届いて、着始めたのは昨日の午後だが、野薔薇は実習で不在だったから今まで見せられなかったのだ。特に言葉を期待していたわけではなかったけれど、嬉しいものは嬉しい。

「私ももう少し変えようかしら」
「いいねいいねー、短くする?」
「そうねー……」
「短くするとさあ、思わぬ効果もあって面白いんだよ」

ふふんとあきらが意地悪げに笑ったので、野薔薇が訝しげな顔をした。何よと問われるから、昨日二年と合同でやった手合わせを思い出してあきらが吹き出す。

「下にショーパン履いてるって言ったのに、みんな怯む」

狗巻先輩とか虎杖とか伏黒とか、と名前を並べた。パンダ先輩に関しては俺はパンダだから通じないぞっと言っていたが、その他男子生徒には効果覿面だった。あきらの足技は結構豪快だから、余計にぎょっとしたのだろう。
野薔薇がにやりと笑った。

「いいじゃない。交流会もそれで行きましょ」
「オッケー!」

きゃははと悪巧みみたいなことを言い合って笑っているこの時間が、この上なく楽しかった。