「許しません」
「えーっなんで」
「なんでとかないよ。駄目です」
ちょっとスカートの丈を短くしたかっただけなのだ。この間の実習で制服が駄目になったしちょうどいいと思って、カスタマイズいる?と聞かれた時にスカート短くしたい!と笑顔で言った。その結果こうして担任に怒られている。なんでだ。
「よく考えてよ。世の中オオカミみたいな男だらけなんだよ。実習で外行くときに変なオッサンに目を付けられたらどうすんのさ」
「倒す」
「痴漢とかナンパとか」
「倒す」
「いやらしい目で見られたり」
「気にしない」
「…………」
五条はひくりと口の端をひきつらせて、それでもやっぱり「駄目です」と言った。
なんで、ここ校則とかないじゃん、自由にやらせてよとあきらが喚く。上着を掴んだあきらに揺さぶられながら、五条は絶対駄目と重ねた。
「なんで」
「確かに校則はないから担任としては止められないけど」
「でしょー!?」
「お兄ちゃんとして許しません」
「…………誰がお兄ちゃん?」
「僕だけど?」
小さい頃から知ってんだからもう妹みたいなもんでしょ!と五条が妙な理屈をこねた。ふざけんなーっと渾身の力で揺さぶってみても堪えた様子が全くない。昔は悟お兄ちゃんって呼んでたでしょと思い出したくないことを言われてとうとう足を蹴りつけたあきらだった。