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二年

コンビニの帰りに雨が降り出した。
一番近くの店とはいえど、呪術高専があるのは山の中なので、帰り着くまでには結構な時間がかかる。
傘も持っていない。一緒に来た五条は術式があるから濡れないので、あきら一人が濡れ鼠だ。まあ買ったものが濡れなきゃいいや、と思って五条を呼んだ。

「なんだよ」
「雨」
「ん?」

ほんとだ、と空を見上げた。今気づいたらしい。
ん、と手に持っていたビニール袋を差し出すと、五条が首を傾げた。

「悪いけど着くまで持ってて。濡らしたくないから」
「……はぁ?」

何言ってんだこいつと言う目で見られて目を細める。心外だ。
あんたは濡れないけど私は濡れるじゃん、と口を開こうとしたところで、いきなり腕を取られた。

「えっ?」
「術式使えばいいだろ。近くにいろよ」
「え……う、うん」

わかった、と答えた声はなかなか混乱している。結局寮に帰り着くまで、五条は腕を掴んだまま離さなかったし、あきらは少しも濡れなかった。