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三年

雨だ。一年に一度くらい、傘をもたない時に雨が降り出すことがある。
前も確か五条といっしょだった。

「五条、雨」

言うとそうだな、と五条が答える。あきらは濡れたくなかったので、そばに近寄って、「じゃあお願い」と言った。

「なにが?」
「え……いやほら前みたいに」

雨避けを、と言うが「ムリ」とあっさり返される。

「は?前はやってくれたのに」

一人濡れて帰れと言うのだろうか。呪霊を傘がわりに出してくれる夏油ももういないのに。
眉を顰めていると、五条が一言。

「たまには濡れて帰るのも、悪くねーだろ」
「ええ……?」

なんだかよくわからない。見上げた五条は本当に術式を使っておらず、雨は自然のまま、白い肌を打っていた。