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かわらないものだらけ

禍福は糾える縄の如し。いいことがあれば悪いこともある。五条先輩の場合は、それは次の人生に来たらしい。前世で目が良すぎた先輩は今世重度の近視であり、眼鏡かコンタクトなしでは生活に支障を来すというレベルだ。
どういうわけかその生命線を無くしたらしい五条先輩の手を引っ張りながら、学校からの帰り道を歩く。

「家帰ったら予備ありますよね?」
「多分。どうだっけ」
「私に聞かないでくださいよ。大体ですね……」

生まれ変わっても手がかかるのは変わらないのか。
こちらの小言を聞き流して「アイス食べてぇ」と手を引っ張る図太さにも覚えがある。
整った顔を睨みあげると目に入る、美しい青もそのままだった。