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ねこです

猫になってしまった五条先輩はそれでもまだ最強で、でも猫なので任務に行くときは世話係みたいなものが一緒に付くことになった。猫としての気ままさに任せて迷子にでもなられたら困るからだ。
このところ単独任務ばかりあてられていた先輩は打って変わって、夏油先輩や家入先輩、私や七海などたくさんの人に抱え上げられながら補助監督の運転する車に乗り込む。
驚くほど支障はなかった。五条先輩が遊べ構えと言うようにしつこく鳴いてもみんなはいはいと笑顔で猫じゃらしを構えるようになったし、ご飯とトイレについてちょっとうるさい以外は、特に困ったことがない。
掌印を省略しての術式発動が完璧になった後だったということも大きいだろう。にゃっと短く鳴いて繰り出される蒼や赫を見るのにもなんだか慣れてしまった。

今日も今日とて現場に着くと、白く手触りのいい毛並みの先輩が腕の中からするっと抜け出して、私の前をとてとてと歩く。
呪いの気配が濃くなってきた頃振り向いて、にゃあん、と一声鳴いた。注意しろよ、という言葉を失ってなお、五条先輩は私たちに呼びかける。