腕がいたい。足がいたい。お腹も頭もどこもかしこもいたい。生きているのが嫌になるほどの痛みは、こうした人間の意図の通りやけにはっきりとしていて、私は安らかに目を閉じることもできない。
私を壊し辱しめた人間はもう誰一人いなくなっていた。みんなヒィヒィ喚いて苦しみながら死んでいった。それを直接見たわけではないけれども、今傍で力無く横たわる私を血塗れのままで見下ろしているのがベルだから、今までの経験をもとに予想はできる。きっといつもの通り、何か楽しいゲームでもするかのように、子供が虫けらをいたぶって殺すようにして、一人残らず。そう考えると少し安らかな気分になる。
「なあ」
「……ぐっ、ぅ、な、に」
「死ぬの?」
「まあ、ね」
「痛そーだね。オレ、殺してやった方がいい?」
こてん、とベルが首を傾げた。
痛みは収まらない。そういう風にされたからだ。そしてさすがのヴァリアーの持つ医療技術でも、私の命を繋ぎ止めることはできないと思われた。このまま最期の時まで苦しみ続けるくらいなら、と肯定の意を込めて目を閉じる。闇の中でベルの気配と、自分の荒い息遣いだけが残った。
「……気分悪い殺しなんていつぶりだっけなぁ」
鋭いものを心臓の皮膚、その上に感じて私はそぅっと息を吐く。繊細で慎重な手つきはいつものベルのやり方とは全く違っていた。きっとこれは敵ではなく、仲間を送るためのもの。
「バイバイ、あきら」
さよなら、ベル。また地獄で。