五虎退の足下を、ちいさなけものがちょろちょろと駆け回る。そのうちの一匹をひょいと抱え上げたのだが、けものは浮いた足をじたばた動かしていやいやをした。
私は懐かれていないのだ。
ふわふわしていて見るからにさわり心地がよさそうだから、おとなしく撫でさせてほしいのになあ。残念なことである。
持ち上げたまましばらくじっとしていると、五虎退があわあわと私を見上げた。
「あ、主様」
「うん?」
「と、虎くんをおろしてあげてください……」
「ああ」
はい、と未だ暴れる子虎を、五虎退の胸に差し出す。
五虎退が手を伸ばして受け取ると、けものは主人の腕の中が心地よいと見えて、満足げに抱えられていた。
「……餌でもやれば懐かんかなぁ。私もアニマルセラピーがしたい」
「あにまる……?」
「まあできないものはしょうがない。今のところは子どもセラピーで我慢しよう。五虎退」
「はい!」
「部屋へおいで」
お茶でも飲もうじゃないか、と頭を撫ぜて歩き出せば、小さい歩幅でおそるおそる着いてくる。仮にも主と呼ぶ人物の命に背くわけにはいかないのだろう。ふふふと少し笑ってしまった。
「……そんなにびくつかなくたって、取って食ったりはしないよ」
だが今はまだ、仕方ないのだ。
いつかその足下にじゃれつくその子たちごと、私に懐いてくれたらいいのだが。