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元就様と将棋/bsr

元就様に将棋を教えていただいた。最近よく縁側でひとり詰め将棋を楽しんでいらっしゃる元就様へのこれは配慮である。相手がいないから一人でできる詰め将棋を仕方なくしているのではないかと私は思ったのだ。
「私もやってみたいです」へらへらと申し出た私に元就様は一瞥をくれ、しかし嫌とは言わなかった。

「あれえ?私負けました?」
「…そうだ」
「あちゃー。よしじゃあもう一回、もう一回」
「またか」
「勝つまでやります」
「永久に終わらぬわ」
「がんばります!」

吐き出される溜息を無視して何回目かわからない対局の準備のため駒を並べる。拙い手つきで全て並べ終えて元就様を見ると、歩と王将のみを並べてそこで手を止めていた。「これくらいせねば終わるまい」なるほど。でもこれでも勝てる気がしないのはなんでだろう。

「あ」
「…何ぞ」
「これ、うちの軍に似てますね」

大して役にたたぬ駒どもを侍らせる一人の将。まさに我らが軍、捨て駒と元就様の構図である。
駒を進めながらにこにこと言うと元就様は眉をひそめて、いつの間にか入り込んでいたと金で私の大事な金を取った。元就様の捨て駒は増えゆくばかりだ。