薬研が私を姉と認めてくれない。
生まれた時から知っているお隣さんなのに、彼の兄も、弟たちも、私をあきら姉と呼んで慕ってくれるのに、薬研だけは、私をあきらさんと呼ぶ。
「薬研は私が嫌いなの?」
覚悟を決めて聞いてみたら、どうしてそんなことになったんだと珍しく幼い顔をして驚いてみせた。宿題をやっていた手が止まって、まじまじとこちらを見つめてくる。
「あきら姉って呼ばれたい」
「ああ」
なるほど、と察しのよい子供は頷いた。
「嫌っちゃいねえさ。俺っちがあきらさんを嫌うなんて、天地がひっくり返ってもありえねえ。多分」
「たぶん」
「……まあ、なんていうか」
姉にするつもりはないのさ、と薬研が言った。
やっぱ嫌ってんじゃんと嘆いてみれば、たまにかわいさ余ってとはなるな、となんとも男らしくからから笑っていた。