※学生時代
任務も課題も遊べる友達もいなくて暇だったので、寮の自分の部屋から出たあきらは、共用スペースでソファーに寝転がってゲームなんかしていた。先輩だか誰かが、寄付のような形で置いていったゲームだから、ずいぶん古いものである。けれどもやっぱり面白いので、こういうのが名作と言われるものなんだろう。
夢中になって最終ステージを進めていると、同じく暇そうな五条がやってきて、あきらの近くに腰を下ろす。
「ねえあきら、付き合ってよ」
「んー、いいけど」
ゲームに集中しているあきらは、特に考えもせずに五条の申し出に頷いた。そのまま小さな画面からは目を離さず、で、どこにと尋ねるより早く、五条が口を開いた。
「『どこに』とかそういうベタなやつ、なしだから」
「…………」
じゃあなんだというんだ?
思考がついていかず、首を傾げたところで、操作していたキャラクターが崖から落ちて死んだ。
あああ、と気の抜けた悲鳴が上がるが、五条の方は気にした様子もない。
「じゃあそういうことで今からあきらと僕はカップルだから」
「はい?」
「明日からは登下校も昼ご飯も一緒だから」
「もともとそんなもんじゃない?」
「仲良くしようね」
「…………?」
疑問符だらけのあきらを余所に、五条は満足そうに笑っていた。