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朝から元気な灰原

「おはようあきら!」

朝から大きな声を出すのはやめてほしい。勘弁してほしい。せっかくの休みなのだからもう少し寝かせてほしい。

寝汚いあきらと違って元気いっぱいな灰原は、全ての文句を詰めこんだあきらの唸り声なんて気にもせずにこにこと笑っている。
駄目押しとばかりに体を乗り出して、眠るあきらの頰に唇を寄せた。俗に言うおはようのチューだ。
こうすれば起きると言うわけではないが、灰原がしたいからすることにしている。

「う゛ーん……」

唸るあきらが、眉間に皺を寄せながら手を彷徨わせ、やがて灰原の丸い頭を探し当てた。よしよしと撫でられ、一瞬目を丸くした灰原があははと陽気な笑い声を上げてあきらの肩口に頭を置く。
そのままあきらの横に寝転がって、されるがままになってみた。

「もうちょっと……」

言葉が途中で途切れた。続いた言葉は寝かせて、だろうか。
あきらはゆっくり灰原の頭を撫で続けている。言うことを聞かない子供を宥めているようなやり方だった。
歳だって、昔は学年だって同じだった灰原を、あきらは時々こうして年下か何かのように扱ってくる。
今のように寝ぼけているならなおのことで、けれど決して嫌ではなくて、むしろ嬉しいと思う。

「あきら、起きてよ」
「やだ……」
「やだって言われても」

されるがまま撫でられているうちに、少しのいたずら心が灰原に芽生えた。
あきらの着ているシャツの裾から、そっと手を潜り込ませる。しばらく柔らかいお腹を撫でて、昨日も触れた滑らかな肌の感触を楽しんでいると、あきらはやっと目を開けた。
寝ぼけながらも自分が何をされているのかはわかっているらしく、灰原を見る目が非難じみている。

「……あのね」
「だってあきらが起きないから」
「むりむり。疲れた」

逃げようと起こされた体を押し倒して、再びベッドに倒れ込む。

「今日はどこか行こうと思ってたけど、あきらは眠いみたいだし」
「……待って、起きるって」
「寝ててもできることしよう!」
「…………」

寝れるわけないでしょ!?というあきらの悲鳴が部屋に響いた。灰原は明るく笑って、さっきまで腹を撫でていた手を上にと滑らせる。休日の清々しい朝にふさわしい、太陽のような笑顔だった。