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→五条に知られる

※酔っ払いと七海の続き

補助監督が到着するまでの時間を、高専の待合室で適当な雑誌を読みながら過ごしていた。
ふらりとやってきた五条が七海の向かいのソファーに乱暴に座り、ローテーブルの上に長い足を乗せる。
いつも通り目隠しをしているが、自分の方を見ているのは明白で、七海は息を吐く。面倒なことになるとわかったからだ。

「あきらとホテル行ったんだって?」

にやにやと笑いながら、五条が言った。
どこから漏れたのかはわからないが、きっとあきらのことだから、ついうっかり口を滑らせたのだろう。

「どうだった?わりと胸とかあるんじゃないかって僕思うんだけど」
「……下世話な話はやめてください」
「いいじゃんいいじゃん~昔から後輩とこういう話してみたかったんだよね。でもお前堅いからさあ」

千載一遇のチャンスとばかりに、興味津々の五条がねえねえどうだった?と尋ねてくる。
七海は大きく溜息を吐いて、充分間を置いた後、「……何もしてませんよ」と返してやった。

「は?」
「ですから、あきらさんとは何もしていません」
「ホテル行ったのに?」

頷く。
しばらく沈黙が流れた。
五条は少し何事かを考えて、ハッとわざとらしく、何かに気づいたという素振りをした。ろくでもないことを言われる気配がして身構える。

「七海、硝子に言って病院紹介してもらおうか?」
「結構です」

ばっさりと切り捨てると、途端につまらないと口を尖らせだした。EDだとか枯れてるだとか不名誉な罵倒をいくつもされるのを黙って聞き流す。こういったことに関して、七海はもうとうの昔に諦めている。

ひとしきり文句を言った後、ようやく飽きたのか、口元のニヤニヤも不機嫌そうな表情もすっかり引っ込めた五条が、ふと真顔に戻って言った。

「アイツ、別に悪い奴じゃないよ」

そんなことは言われるまでもない。

「知ってます」
「そっか」

じゃあもういいやと言い残し、五条はあっさりと去っていく。

「……全く」

ふざけているのか心配しているのか、もっとわかりやすくしていればいいのだ。つくづく不器用なのか器用なのかわかりにくい人間だと、厄介な先輩のことを七海は思った。