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大人でも子供でもない/ラルゥ

「アナタはどうするの?」

二人を残して誰もいなくなった空間に、ふざけた外見に似合わない穏やかな声が響く。それがあっさり消えた頃、あきらは腰掛けていた何かの残骸から立ち上がって、億劫そうに足を踏み出した。あきらが歩き出したのは子供たちが消えて行った方向だったので、ラルゥは少し驚いた顔をした。

「意外ね」
「意外?」

何が?と鼻で笑うあきらに、アナタは非術師が嫌いでしょう、と穏やかな声が返る。あきらは眉間に皺を寄せた。

「傑ちゃん本人を慕うというより、その理想に賛同してた方だと思ったけど」
「……別に」

非術師が嫌いなのは本当だった。
呪術も扱えないくせに偉そうな奴らなんて全員死ねと思っているから、正直この渋谷の騒動は気分がいいくらいだ。これを率いていたのがあの男だったなら、きっと今頃高笑いでもしながらやりたい放題、みんなで暴れていただろう。
けれどもうあの男はおらず、存在するのはその抜け殻を、自分勝手に使う得体の知れない何かだ。
だからもういい。もういいと思った。

「……あいつらくらいは逃がしてやりたい。まだ、子供だから」
「そう」

あきら、と後ろから呼ばれて、肩越しに振り返った。落ち着いた眼差しが真っ直ぐにこちらを見据える。「アナタも忘れないで」

私達は家族よ、とさっきも言ったようなことをラルゥは言った。

「私はそんなつもりじゃないし」
「……もう」

あきらはまた鼻で笑って、首を戻した。ジャリジャリと砂だかガラスだかを踏みしめながら、去った子供を追いかける。

「いつまで経っても反抗期なんだから」

小さな背にかかった声には、こんな時だというのに、少しの笑いが含まれていた。