真希ちゃんの唇は柔らかかった。艶やかで、おいしい果物みたいだった。いつまでもくっつけていたい。
「……何やってんだ」
思ったより動じていない真希ちゃんが、ぎろりとこちらを睨む。
何って、チューだよ、チュー。
笑いかける私とは逆に、真希ちゃんの眉間に皺が刻まれる。
いちど離した唇をもう一度近づけて、ふわりと重ねてみた。
やっぱり抵抗はないのだった。
こうして重ねたところから、呪いを見る力とか、呪力とか、真希ちゃんがほしくて私が持ってるもの全部、流れていってくれたらいいのに。そうしたら、こんな私も好きな人の役に立てる。
「真希ちゃん、私が死んだら呪ってあげるね」
そうしたら乙骨のように、もしかして。
「冗談じゃねえ」
どうしようもなく歪んだものでもいい。全部全部、あなたにあげたい。