Skip to content

復讐完了※/五条

※モブによる強姦が話に出てくるので無理な方は読まないでください
※五条は何もしてないしされてません

問題ない方は注意文上のどこかをクリックしてください。

 

 

 

「強姦されるか殺されるかだったら、私は強姦の方がマシだと思うのね」

 

解剖室の無機質な寝台に、死体が一つ転がっている。

シーツで覆われているから顔は見えない。だがしかし、それが誰であるのか、隣に腰掛けてそれを眺めるあきらにとって、それがどんな存在であるのかを、五条はよく知っている。

あきらの言葉はまさしく独り言で、答えは期待されていなかった。だから五条が黙っていても、その先は続く。

「だって自分でやり返せるじゃん」

声は終始淡々としていた。
よいしょ、と立ち上がった同期の女は少し台の近くによって、腰に手を当てた。自分が殺した男の体を見下ろしている。その後ろ姿を五条は見ている。
独り言は続いた。

「……こいつに感謝してるのはそれくらい」

冗談のようにそう言って、ふう、と一息吐くと、あきらは五条を振り返る。
サングラス越しに目が合ったと思うと、にやりと笑った。

その顔が十年も前に涙でぐしゃぐしゃに歪んでいたのを、無惨に破られた高専の制服を、明らかな暴行の跡を、五条はまだ覚えている。しばらくは食べることも眠ることもろくにできなくて痩せてしまったことも。睡眠薬を飲んでいたことも、同級生の五条や夏油にさえ脅えるようになった数ヶ月間のことも、全部だ。

目に焼き付いて離れないそれらを塗り替えるように、今のあきらの笑顔が目に映る。

「……オマエは強いよ」

珍しく神妙な顔をしている五条に向かって、「ありがと」とあきらは言った。どこか吹っ切れたような、とても明るい声だった。